イギリス海岸 イーハトーブ短篇集
![]() | イギリス海岸―イーハトーヴ短篇集 (ダ・ヴィンチブックス) 木村 紅美 メディアファクトリー 2008-01 by G-Tools |
私の地元と縁のある人なら
‘イギリス海岸’という言葉に反応するだろう。
宮澤賢治が名づけた川岸のことだ。
賢治にまつわる本ならたくさんあるが、
現代のイーハトーブを舞台に書いた小説にはめったにお目にかかれない。
そのせいか、この本のタイトルには敏感に反応してしまった。
古めかしい賢治の本が並び、
イギリス海岸のものと思われる白い石に牛乳びん、と
表紙のデザインからしてノスタルジックな雰囲気・・・
と思いきや、裏表紙には福田パン。
近年ではれっきとした盛岡土産になりつつあると聞いている。
本の中身はと言うと、
盛岡にゆかりのある双子の姉妹やその知り合いなど、
1話ごとに主人公(語り手)が変わる、おもしろい設定で、
どの主人公もその他の話の主人公とつながりがあるというのも
そういえば、この人、この間の話ではあんなことがあったよなぁと
奇妙な懐かしさを感じさせる。

話の舞台は賢治の故郷・花巻や
NHKのドラマなどでも有名な小岩井、
石畳が敷かれている、盛岡の材木町など。
私にとってどこも行った事のある場所だから、
読んでいると、情景がくっきりと思い描ける。
これといって毎日通いつめたくなるようなワクワクする魅力があるわけでもないのに
社会人になって、いざ離れてみると、
なんだかいいところに思えてくる。
地元ってそんなものだ。
東京に行ってしまった妹に、双子の姉は福田パンをお土産に訪ねていく場面なんかは
あのぼってりとした福田パンが恋しくなったりして。
なんて思っていたところ、
偶然にも福田パンの方から私の方に近づいてきた。


チョコの箱と比べるとやっぱり大きい!
普通のスーパーで既成のものが売られているけれど、
お店の人にリクエストしてクリームを塗ってもらうと、
スーパーのよりも中身がたっぷりしてお得な気持ちになる。
これなんかはかりで重さを測ったら190gはあった。
1番はやっぱり‘あんバター’。
これをはずしたら、福田パンは物足りないものになってしまう。
(一時期バターが値上がりしてあんバターが危機に陥ったこともあったな・・・)
もうひとつ、この本には書かれていないが名物がある。
花巻に行ったら、ぜひ‘マルカンソフト’を食べてほしい。
花巻駅から少し離れたところにマルカンデパートという、これまたレトロなデパートがある。
その最上階に食堂があって、私はそこのソフトクリームが大好きだ。
特別な味があるわけではなく、特別なのはその大きさ。
以前数えたらぐるぐる巻いているソフトクリームの部分が13段もあり、
(そのくせコーンの部分は10cmもない)
ここでソフトを食べる時は、手に持って食べるのではなく、
割りばしを使う。
聞くところによると、何年か前に亡くなったここの社長が
ソフトクリームが大好きだったため、こんなに大きくなったんだとか。
生前はお昼の時間になると、いつもの席で昼食をとっていた。
ソフトを食べるたびに社長に感謝したくなる。

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2009-12-03 10:55 :
ひなたでゆるり
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